『モノ創りやクリエイティヴな発想に役に立つ心得』……まとめ


新しい『連載小説』の原稿、
ようやく50枚を超えたところです。
締め切りまであと2週間ほど。さて、間に合うか……。
もちろん間に合います。間合わせます。

でも、『ゲンジ物語』(http://genji.papy.co.jp/)のほうも、シリーズ第3話『薔薇の烙印』が携帯配信開始になり、シリーズ第2話の『死神の接吻(くちづけ)』もPCで全文読める状態になっています。
(上のURLに行ってみてください。サンプルも読めますよ)
ということは、第4話の配信も、近づいているってことです!
ガーン。
全然休む暇がないっ。

はあ〜〜……。


それはさておき、モノ創りやクリエイティヴな発想に役に立つ心得、みたいなことを以前ここで書いたところ、凄い反響がありまして、「まとめて読みたい」という方も多いようなので、ここで一部抜粋しつつまとめて再録しておこうかと思います。
別に偉そうな『クリエーター論』をぶつつもりはありません。
人生を明るく豊かにするために、人の作ったものを純粋に楽しんで生きよう!
みたいな話です。
まだ読まれていない方は、ご一読ください。


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●その1 (10月17日付け)


作家を始めとするとするクリエーターになりたい人にアドバイスしておきたいのは、他人の創った物を楽しむ心を持とう、ということです。
批判ばかりしている人は、まずモノ創りには向いていません。
なぜなら、批判は多かれ少なかれ、『アラ探し』をすることで成立しているのに対して、面白い物というのは、概してアラをたくさんもっているからです。ドラマでも映画でも小説でも、もちろん漫画も、面白いヒットした作品ほど、ツッコミ所満載なんです。でもそれ以上に、インパクトのある個性と新しさ、そして意外性をもってもいる。
そういう面白さを素直に楽しめない人に、他人を楽しませるものが創れるはずもありません。
本格ミステリなんか、面白いと評判の作品ほどトリックの正当性とか言い出すと穴ダラケだったりしますよ。でも、やっぱり印象に残るし面白い。マニアだけのものではない、何かがあるんです。だから、ヒットする。
そして、ヒット作を生み出すためには、アラやツッコミ所や少々の無理をただしていく作業はほとんど必要なく、逆にそれをやりすぎるとせっかくの面白さが消えてしまうことも少なくないんです。もちろん、アラを残すのも程度問題ですけど(笑)。
私の周りでも、なんでもかんでもケナす、クサす人より、これが今サイコーに面白いとリスペクトするのが好きでなおかつ巧い人が、いい作家になったり編集者として成功しています。これはもう、経験的に間違いない事実です。
自分以外の誰かの作品を単純に楽しむ『能力』が、クリエーターになる素質でもあるんです。他人の創ったものの面白い部分を見つけて表現するのが巧い人は、自分の創るものでもそれができるということでしょうか。
いかがですか? みなさんは、他人の創ったもの(友達のものでもなんでも)を、素直に楽しめていますか?


●その2 (10月20日付け)


リエーターになるためには他人の書いたものを素直に楽しむ心を持ちましょう、みたいなことを書いたところ、ものすごくアクセスが入ってびっくりです。
ネット社会では、もはやそんな当たり前の受けてとしての姿勢が、当たり前ではなくなってきているのかもしれませんね。
ちょっと気がかりです。


まあしかし、大多数の日本人というか地球人は、今でも昔通りに普通に好きな本を買って楽しみ、好きな映画やテレビを楽しんでいることでしょう。もちろん、漫画やゲームも同様です。人間にとっての『面白さ』というのは、古今東西、基本の部分ではそんなに大きく変わっていないはずです。
だから、売れているものには、やはり売れるなりの面白さがあります。売れてるって聞いたから買ってみたのに、全然じゃん、という場合は、自分がその作品の支持層に当たらないために、面白さを感じられないだけのことです。
さて、それじゃあ『面白さ』って何? 誰にとっての面白さを目指せばいいの?
そんな疑問が、湧いてきます。これは難題です。
100万部も出ているのに、読んだ人が誰一人面白かったと言わない漫画なんて、聞いたことないですよね。でも、100万部売れてるからといって、読んだ全員が面白いという作品もまた存在しない。


そういう現実を前にして、プロの作家というのは、「さて、じゃあ自分はどんなものを書けば売れるのだろう」、と考えるわけです。
いや、売れないでもいいんだ自分は好きなものを書くから、というプロもいますし、そういう考え方を否定するわけではないのですが、そんな人でも本当は自分の作品をたくさんの人たちに読んでほしい観てほしいと思ってはいるはずです。
売れる作品、たくさんの読者や視聴者に支持される作品。
自分でもそういうものが創りたい。
でも、最大公約数のようなものを創っても売れるわけではない。
かといって、読んだことも観たことも聞いたこともないような奇妙キテレツな作品は、やっぱり売れません。


う〜ん。困った。なにを創ればいいんだ。
そういう時に、なにをするのがいいと思いますか?
一番いい方法は、「過去に自分が読んで面白くて夢中になったもの」を思い出すことだと私は考えています。そして、その「夢中になった理由」を考えて、自分の作品に『感覚として』反映させていくんです。それが、突破口になる秘策だと、私は思っています。
不特定多数の読者にとって面白いものを目指すというのは、避けたほうがいい。よほどのリサーチ力と分析力がないと、うまくいきません。やはり「自分にとって面白かった」もののほうが、理解もしやすいし表現もしやすいんです。
間違えないでくださいね。「自分が書きたいものを書く」のではなく「かつて自分が読んで夢中になった誰かの作品の面白さを分析して、自分の作品に反映させる」ということですから。これは、秘中の秘です。このブログを読まれたあなたは、ラッキーかもしれません。


そういうわけだから、優れたクリエーターとなるには、この「面白かった」体験がなるべく多く必要なんです。その引き出しにたくさんのアイテムが入っている人のほうが、成功もするしその成功が長続きもするように思います。
私が思うに、若いうちに『面白かった体験』をなるべくたくさん積む。そして、その面白さを具体的に分析して表現する習慣をつける。それがクリエーターへの第一歩です。
簡単なようで、案外難しいんです、これが。


他人の作品を面白がる、というのは、何でも喜べという意味ではないですよ。てゆーか、そんなことって人間できないでしょう。全然面白くないものを本気で面白がることができる人なんて、いやしません。だから、純粋に楽しむことが欠点に気づかない鈍感さにつながる心配なんかないと思ってください。欠点を探すほうが、遥かに簡単です。探そうと思えば誰でもすぐに探せます。どんな完成度の高い作品でも、掘れば欠点はゾロゾロでてきて、そんな作業をしているうちに、この作品、本当に面白かったのかなぁ、なんて疑問まで湧いてきますよ(笑)。だから欠点さがしなんかヤメといたほうがいい。そんなの、プロになってから自分の作品の校了の時にでも、えいっ、と思い立てばすぐにできますから。くり返しますが、クリエーター(あるいはそれを目指す人間)に必要なのは、「面白さを探し、具体的に形にして把握すること」なんです。そして、これが一番難しい。


たとえばですね、編集のキバヤシが昔よく、新人編集者にこんなことをさせていました。
新人編集者に、最初に漫画の絵コンテ、つまりネームというものを読ませて、さあ、どうだった? ときくと、最初の答えは作家とか先輩の目を怖がりつつ「面白かったです」と返ってくることが大半です。
それじゃダメでしょ、なにか意見はないの? とさらに問い詰める。すると、焦りを顔に浮かべてまたパラパラと絵コンテをめくって、「えーと、ここがイマイチです。ここもなんか分かりにくいですね。ここが、ここが……」と今度は欠点をあげ連ねる。
するとイジワルな先輩たちは、「ふーん。悪いところはわかったから、良かったところは? 面白かったところはどこ? どう面白かったの?」
「えっ? それはその……」
たいがい、ここで詰まってしまう。最初に面白かったと言ってるのに、意見を言えと要求されると、悪いとこをまず見つけてくる。そして、面白かったはずなのに、どこがどう面白かったのかは、なかなか具体的に表現できないんです。
わかりますか?
他人の作品の面白さを見つけ出し、表現して、さらにこうすればもっと面白くなるかもしれない、と発展させていくことが、『売れる』クリエーターになるための一番の近道なんです。逆に、ここがダメなんだよ、ここがつまらないよなぁ、とケチばかりつけていては、どんどん迷路に入っていって、永久に目的地に到達できないかも知れません。


●その3 (10月23日付け)


他人の作品を純粋に楽しもう、みたいな私の提案に、たくさんのブログ読者の方が共感してくださっているようで、とても嬉しいです。ありがとう。きっとみなさんの未来は明るいと思います。『はてな』のみんなも言ってたけれど、そういう考え方はたとえクリエーターを目指す人間でなくても、きっと役に立つに違いありません。世に言うクリエーターでなくても、『何かを生み出していきたい』という気持ちをもっている人とそうでない人では、先の人生の充実に大きな差が出てくることはいうまでもありませんから。
この反響を踏まえて、これからもたまに『そういう話』をしていきたいと思っています。


なにかを生み出していきたいという気持ちは、人間の本能に近い欲求じゃないかと思っています。なぜなら、子供たちの多くは紙とエンピツとハサミとセロテープを与えると、誰もなにも言わなくてもいろんなものを作り始める。そして、「できた!」と目を輝かせて周囲の大人に自慢するのです。
ところが大人になっていくにしたがって、そういう欲求は次第に失われていく。
私は、人がなにかを生み出したいという気持ちを失っていくきっかけの一つは、『批判にさらされること』なのではないかと考えています。


せっかく絵を描いても『下手くそねえ』と親が笑えば、それをきっかけに子供は絵を書くのが嫌いになり苦手になっていくかもしれません。逆ももちろんあるでしょう。しかし、子供の絵というのは大人から見ればたいがいは下手くそに見えるわけで、思わず笑っちゃう親とかのほうが多いんじゃないかな。文章にしたってそうです。子供の書く文章というのは、本当に驚きがあります。でも、大人からみれば字が汚いことや『てにをは』が拙いことが気になって、つい注文をつけたくなる。文法はあとから身につくのだと思えば、ここで『いいところを探してただ褒める』というほうが、その子供の将来のためになるようにも思うのですが、いかがでしょう。


実はこの考え方は中学生、高校生、あるいは大人にも通ずるように思います。
まあ、いい大人でしかもプロのクリエーターともなれば、ちょっと『くさされた』くらいでやる気をなくしてしまうようなことは、あまりないとは思うのですが、新人作家なんかはそれっきりになってしまうこともある。


他人を『くさす』大人は、昔もしかしたら誰かに自分の作品なりなんなりを貶められた経験があるのかもしれません。負の連鎖ですね、まさに。
この負の連鎖は、周囲のためにはもちろん、自分のためにこそなるべく早く断ち切るべきなんです。他人の創ったものを『くさす』ことで、自分のほうがどんどんモノを創れない人間になっていくからです。(その理由は何度も述べていますので省きます)
リエーターに限らず、新しい何かを生み出せない人間は社会人として成功するのが難しい世の中になってきているだけに、それって、とても怖いことのように思えるのですが、いかがでしょう。


●その4 (11月2日付け)


発想が降ってくる瞬間には、多くの場合『話し相手』がそばにいます。
これ、重要ですよ。人って、誰かと話している時が一番、脳が柔軟で新しい発想が出てきやすくなるんじゃないかな。作家が偉くなっていくと、だんだん発想が貧困になっていったりするのは、話し相手が減っていくからかもしれませんね。
皆さんは、楽しく話せる友達やパートナーが、そばにいますか?
ネット越しでは、たぶんダメだと思いますよ。
それに、当然ですが人や他人の作ったモノの悪口を言い合うような関係では、逆効果です。なにも言えなくなっちゃいますから。
もっと前向きな話のできる関係です。
「こんなのどう?」と口にしてみて、「あっ、面白いねえ〜」なんて言ってくれると、
頭の中で、モヤッとした形を成さない雲みたいな『発想の素』が、みるみるうちにアイデアになっていくんです。
そういう人間関係を育てる努力は、しておいて損ないですよ。
べつに作家になろうって人じゃなくても、どんな仕事でも趣味でも、新しい発想やクリエイテビティは、人生を豊かにしてくれますから。


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『ゲンジ物語』のシリーズ第3話、
『薔薇の烙印』の携帯配信分第一回が、
11月2日水曜日に配信開始になりました。
休日の関係で、一日早いそうです。


これもまた、一回目からちょっと仕掛けがあって、それがラストの意外性につながるようになっています。シリーズ第2話の『死神の接吻』より、さらに派手な話で、楽しんでいただける出来だと自負していますので、ぜひご一読ください。『死神の接吻』のPC配信も同日開始だと思うので、こちらもどうぞ。



『ゲンジ物語』
      第一話 〜蝶の葬送〜 
      第二話 〜死神の接吻(くちづけ)〜

           携帯&PCにて配信中

URL: http://genji.papy.co.jp/

上記URL↑または、携帯のメニューからもアクセスできます。詳しくはこの後に↓


約1ヶ月分の1エピソードが300円で購入できます。本屋さんにいくバス代往復くらいかな? 携帯の場合は一週間に一回、毎週木曜の配信で、4回〜5回で1エピソードが終了、そしてこの先も読みたいと思っていただけた場合は、最後の回の配信時点で次のエピソードの第1回を購入できるようにしました。10月6日より開始されたPC配信は、1エピソードを月イチで丸ごと一回で購入できます。
また第一話(4回分)を購入された方は、特別付録として金田一少年の事件簿 〜オペラ座館・第三の殺人〜』の第一話シナリオを読んでいただくことができるようになっています。門外不出の漫画シナリオです。ここでしか絶対に読めません。どうやって漫画ができているのか、漫画のシナリオって、どんなだろう、なんて興味で読まれるのもアリですが、もしかするとシナリオならではの描写の中に、今回の謎のヒントにつながる部分があるかもしれませんよ。もちろん、なにげない記述をヒントに結びつけることができるか否かもみなさんの推理力次第です。どうぞ、こちらもお楽しみに。
第二話には、田島昭宇先生のクールなイメージイラストの待ち受けかPCの場合は壁紙が付録でついてきます。


★携帯のメニューから購入画面にアクセスする場合

【NTT DoCoMo店】
 メニューリスト→TV/ラジオ/雑誌/小説→小説/コミック→電子書店パピレス
KDDI店】
 トップメニュー→カテゴリで探す→電子書籍→総合→電子書店パピレスDX
【Vodafone店】
 メニューリスト→TV/ラジオ/雑誌→電子書籍→電子書店パピレス

★携帯アクセスの補助ツール
QRコード:
 

日経新聞
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=109727&lindID=1

毎日新聞
http://www.mangatown.mainichi.jp/portal/press/0119/02/


10月17日、『探偵学園Q』最終巻が発売になりました

コミックス派のみなさん、最終回の感想もぜひ、メールでくださいね。
悲しいけれど、未来への希望に満ちたラストだと自負しています。
購入はこちらからどうぞ↓

探偵学園Q(22)<完> (講談社コミックス)

探偵学園Q(22)<完> (講談社コミックス)


また、同時に発売になった、探偵学園Q THE LAST MYSTERY
のことはご存じですか?
私が信頼しているライターの方が気合をいれてまとめてくれた、素晴らしいネタ本です。
このシリーズはだいたい読んで損のない出来ですが、『Q』については最後ということで、私もいろんな裏話を語り尽くしております。
ご期待ください。
カバーは↓
購入は↓からどうぞ。

探偵学園Q(キュウ) the last mystery (KCデラックス)

探偵学園Q(キュウ) the last mystery (KCデラックス)

↑なんか、発売即大増刷だそうです。ありがとう、みんな!


おっと忘れてた。新装版のノベルス『鬼火島殺人事件』も発売中です!


↑ドラマ『吸血鬼伝説殺人事件』原作本です!


オペラ座館三部作』の二作目、オペラ座館・新たなる殺人』の新装版ノベルスも、発売になってます。

読まれていない方は、こちらからどうぞ。ごらんのように、亀梨くんのかっこいいオビ付きです。


サイコバスターズ↓完結第3巻(最新刊)発売中! ↓をクリックで買えます!

サイコバスターズ(3) (YA! ENTERTAINMENT)

サイコバスターズ(3) (YA! ENTERTAINMENT)

謎のリンク(ともかく訪ねてみよう)

http://d.hatena.ne.jp/sijimi217/

http://blog.goo.ne.jp/toofu001

http://d.hatena.ne.jp/agitadashi/




★読者のみなさんからのメール、お待ちしています。『金田一少年』『探偵学園Q』『ゲンジ物語』などの感想もぜひ!

お返事は余裕のあるときにしか出せません、ゴメンナサイ。

でも、ぜったいに読んでいます。それはお約束できます。

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アドレスは、

amagiseimaru@mail.goo.ne.jp

になります。
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